関西ユーモアご利益紀行

命婦稲荷社 ~京都市下京区~

 

縁切りの水。飲ませたい相手は?

 

 

鉄輪の井戸 お参りシリーズ第二弾。

 

場所は京都市下京区の古い家並みを残す住宅街某所。

他人様の玄関先にある小さなお稲荷さん。

 

鉄輪(かなわ)の井戸

 

命婦(みょうぶ)稲荷社というのだが、

有名なのは社の隣にあるこぢんまりした井戸の方です。

 

危険防止の金網と枠で覆われていて水面をのぞきこむのも容易じゃ

ないが、水の入ったコップやペットボトルが供えられている。

 

その水を持ち帰って願うご利益というのが縁切り

 

鉄輪(かなわ)の井戸と昔から呼ばれていて、

古典の中で最も恐~い物語といわれる謡曲鉄輪の舞台がここ。

 

平安時代のこと。

夫の浮気を呪った奥さんが頭に鉄輪を乗せてロウソクを灯し、

遠く貴船神社の巨木に人の形をしたワラの束を打ちつけた。

 

釘でゴンゴンゴン。ゴンゴンゴンゴン!

毎夜の呪いの行で奥さんは鬼にヘンシン。

 

いやー、マジで恐いよ。

呪いのワラ人形。丑の刻参りのはじまりだと。

 

鬼になった奥さんは腕利きの離婚弁護士を雇って

家財をすべて自分のものにしたそうです。

 

高額の慰謝料も請求。夫の身ぐるみ剥いだ。

現代ならそうですね。これはほんとに恐い。

 

けれど平安時代の奥さんは夫に依頼された陰陽師に退治されて

しまった。やったのがあの阿倍晴明。

 

・・・かわいそうな話になってきましたね。

安倍晴明って悪いやつじゃないですか。

 

でも鬼妻もやっぱり恐い。

 

鬼妻が晴明の呪法によって事切れたのがここ

鉄輪の井戸だそうです。

 

で、この井戸。

病気や悪縁と縁を切る井戸として江戸時代までは知られていたが、

途中信仰が廃れて昭和になって石碑が発掘されて再び信仰が復活

したとか。

 

供えた水を持ち帰って病気の患部に塗ったり、

別れたい相手にこっそり飲ませたりするといいそうです。

 

亭主の不倫相手や縁を切りたい相手に飲ませる人が今も

少なくないとか。

 

京都帰りの誰かに生ぬるい水を勧められたら要注意。

 

 

 

※京阪本線「五条」駅下車、五条通を西へ徒歩15分